光でナノ粒子の量子的個性を選別する
光渦が拓くキラル応答の新しい物理
光圧における量子ダイナミクスの理論的解明

Research Vision

光で物質の量子力学的性質を自在に操り、識別し、選別することができれば、また逆に、物質の量子力学的性質を用いて光を思い通りに制御できれば、従来の技術は私たちの常識を大きく超えて広がっていくかもしれません。そして、そのような技術を追求する過程で、光と物質がどのように相互作用するのかを、これまでよりもさらに深く理解できるはずです。

物質の量子力学的性質は、ナノメートルスケールの物質構造に宿ります。ナノメートルは1メートルの10億分の1です。1メートルを地球の直径にたとえると、1ナノメートルはビー玉程度の大きさに相当します。私たちは、光とナノメートルスケールの物質が互いにどのように作用し合うのかを、量子力学を駆使して探求しています。また、その相互作用がどのような興味深い機能に結びつくのかを明らかにしようとしています。

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私たちが特に注目しているのは、光とナノ物質が一方通行に作用するのではなく、互いに影響を及ぼし合う点です。さらに、小さな物質や狭い空間の中でも、光と物質はそれぞれ豊かな空間構造をもち、それらが複雑にインタープレイすることで、新しい物理現象が生まれます。私たちの目標は、このようなインタープレイが生み出す極限的な現象を理論的に追求することで、物理の理解を深めるとともに、新しい技術の可能性を切り拓くことです。

例えば、通常であれば熱として失われてしまう励起エネルギーを、非放射緩和よりも速く光として放出させる、サーマルフリーフォトニクスの可能性を示してきました。また、数十万個の原子からなるナノ粒子の中で、たった一つの原子レベルの違いを光で見分け、特定の発光性能をもつ粒子だけを選別する機構も提案してきました。これらの研究は、多くの実験グループとの共同研究により実証へとつながっています。

このような光とナノ物質が織りなす新しい物理現象と、その機能開拓の具体例については、以下のトピックスをご覧ください。

Research Topics

Optical-Force-Driven Sorting by Quantum Properties(準備中)

光圧を利用して、量子ドットや蛍光ナノダイヤモンドなどのナノ粒子の持つ量子力学的個性を、その運動から直接識別し、選別・濃縮・回収する新しいナノ材料創製技術の確立を目指します。

Coherence‑Driven Plasmonics: Hot Carriers for Efficient Energy Conversion(準備中)

金属ナノ構造に生じるプラズモンが高エネルギーの電子や正孔(ホットキャリア)を生み出し、光エネルギーを電気や化学エネルギーへ変換する現象を研究しています 。その過程で重要となるプラズモンの量子干渉性を理論的に解明し、干渉効果を駆使した効率的なホットキャリア生成・利用方法の提案を目指します。

Nonlocal Theory of Near-Field Nanospectroscopy(準備中)

先端増強ラマン散乱・フォトルミネッセンス、光誘起力顕微鏡などを、非局所応答理論により解析します。分子や量子ドットの空間的に広がった量子状態と近接場の相互作用から、発光・ラマン・力・キラル応答のナノスケール可視化機構を明らかにします。

Optical Vortices and Chiral Matter(準備中)

ねじれた光である「光渦」と、右手型・左手型の構造をもつキラル物質との相互作用を研究しています。光渦が運ぶキラリティとその角運動量が物質へどのように伝わり、左右の違いに応じた光応答を生み出すのかを、理論的に明らかにすることを目指しています。